ステーブルコインとは
ステーブルコイン(Stablecoin)とは、米ドルなどの法定通貨や金といった資産に価値を連動(ペッグ)させることで、価格の安定を実現したデジタル資産のこと1。
ビットコインやイーサリアムのような暗号資産は価格変動が大きく、日常的な決済手段としては使いにくい。ステーブルコインは、ブロックチェーンのプログラマビリティや即時決済の利点を保ちながら、価格の安定性を確保するために設計されている。
主な種類
法定通貨担保型
発行体が法定通貨や国債などの準備金を保有し、それを裏付けとしてトークンを発行する方式。もっとも普及しているタイプ。
- USDC(Circle発行): 準備金は現金と短期米国債で構成。監査法人による定期的な準備金証明レポートを公開している
- USDT(Tether発行): 流通量では最大。準備金の透明性について過去に疑義があったが、2026年にBIG4のKPMGと正式な監査契約を締結し、透明性の強化を進めている
暗号資産担保型
暗号資産を担保としてスマートコントラクト上で発行する方式。担保の価格変動を吸収するため、過剰担保(担保率150%以上など)を要求する。
- DAI(MakerDAO): イーサリアムなどを担保にして発行される。分散型で、中央の発行体が存在しない
アルゴリズム型
担保資産を持たず、アルゴリズムによって供給量を調整し価格を維持する方式。2022年のTerraUSD(UST)崩壊により、このモデルの脆弱性が広く認識された。
主な用途
- クロスボーダー送金: 銀行を経由せず、低手数料かつ即時に国際送金が可能
- DeFi(分散型金融): レンディング、DEX(分散型取引所)などの基軸通貨として機能
- 新興国での利用: 自国通貨が不安定な地域で、ドル建ての価値保存手段として利用が拡大
規制の動向
米国
2023年以降、ステーブルコインの連邦法による規制が議論されている。発行体に対する準備金要件、監査義務、銀行規制との整合性が焦点。
EU
MiCA(Markets in Crypto-Assets Regulation)が2024年に施行され、ステーブルコイン(EMT: Electronic Money Token)の発行に電子マネー機関としての認可を求める枠組みが整備された。
日本
2023年の改正資金決済法により、ステーブルコインは「電子決済手段」として法的に位置づけられた。発行は銀行、資金移動業者、信託会社に限定される。
トークン化預金との違い
ステーブルコインは民間企業が新たに発行するデジタル通貨だが、トークン化預金は銀行が既存の預金をブロックチェーン上で表現する仕組みだ。
課題
- 準備金の透明性: 発行体が十分な準備金を保有しているかの検証が継続的に求められる
- システミックリスク: 大規模なステーブルコインの信用不安が金融市場全体に波及する可能性
- 検閲耐性とコンプライアンスの両立: 発行体がアドレスの凍結やブラックリスト登録を行えることに対する分散性との矛盾
Footnotes
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一般にはステーブルコインは暗号資産の一種として語られることが多い。ただし日本の改正資金決済法(2023年施行)では、法定通貨に連動するステーブルコインは「電子決済手段」に分類され、法律上は暗号資産とは別のカテゴリとして扱われる。 ↩