自民党内に金融×テクノロジーに関する2つのプロジェクトチーム(PT)が新設された。金融調査会の「決済・イノベーションPT」と、デジタル社会推進本部の「次世代AI・オンチェーン金融構想PT」で、2026年3月24日にそれぞれ初会合が開催された。
https://www.jimin.jp/news/information/212839.html
2つのPTの概要
決済・イノベーションPT(金融調査会)
- 座長: 村井英樹衆院議員
- 目的: CBDCやブロックチェーン技術を活用した新たな金融インフラの構築
次世代AI・オンチェーン金融構想PT(デジタル社会推進本部)
- 座長: 木原誠二衆院議員
- 目的: ステーブルコインやトークン化預金の実装推進
内容
既存の決済システムと金融制度、AIやブロックチェーンの進化の両面から、日本発の次世代金融モデルを世界へ示すための議論を開始した模様
- 財務省は、政府ではわが国でのCBDCの導入を将来的な選択肢の1つとし位置付けていることを説明
- 日本銀行と連携し、発行する場合に備えた制度設計の論点整理やパイロット実験を行っている
- ステーブルコインやトークン化預金で、従来の銀行送金より決済手数料の削減や決済期間の短縮につながることが期待
- 新たな決済手段を取り巻く現状認識
- 既存の金融制度を踏まえた適切な環境整備の検討について議論
- 同会議は今後、技術革新を踏まえた新たな経済領域への未来像を描いていく方針
JPYCへの影響と今後の展望
今回の会合ではCBDCが議論の中心だったが、PTの目的にはステーブルコインの実装推進も含まれている。この議論が進めば、日本円ステーブルコインであるJPYCにも影響が及ぶ可能性がある。
JPYCは2025年10月に電子決済手段として発行を開始し、日本円との1:1での償還が可能になった。日本初の日本円建てステーブルコインとして、TISとの決済支援サービスの実証実験(2026年春〜夏予定)など、実用化に向けた動きが進んでいる。PTでの議論がステーブルコインの活用環境整備に踏み込めば、こうした民間の取り組みを後押しする方向に働くかもしれない。
一方で、CBDCが本格導入される場合、民間ステーブルコインとの棲み分けが論点になる。CBDCが個人間決済をカバーし、民間ステーブルコインはプログラマブルな決済やDeFi連携など特定のユースケースに特化するという役割分担が考えられる。逆に、CBDCが広範な用途をカバーする設計になれば、民間ステーブルコインの存在意義が問われることにもなりかねない。
いずれにせよ、PTの議論が「CBDCか民間ステーブルコインか」ではなく「どう共存させるか」に向かうかどうかが、JPYCを含む日本円ステーブルコインの今後を左右する分岐点になるのではないか。